りんごバブ

お風呂にりんごのバブを入れた。

思ったよりも激しい音を立てて溶け出すそれは、なんだか怒っているようにも焦っているようにも、はたまた大笑いしているようにも思えた。

 

私は焦ってケータイを取り出し、その様子を撮影した。そんなことは構わずシュワシュワ溶けている、手に取ってみるとより大きな音を立ててて、色を増してドロドロと溶けた。 

 

お風呂に入れたり出したりして遊んでいると、気づいたら随分小さくなっていた。手には小さな粒がついていた。取っている動画は私の頭の中で映画のように再生される。この動画をみせれば、みんなも私と同じように綺麗だと感じてくれるのだろうか。

 

バブに穴が開いたので、人差し指に通してみた。穴の開いたものに指を倒したくなるのは人間の本能なのだろうか?すると、バブは思いのほか簡単に崩れて、粉々になってしまった。

少し寂しく思いながら録画を停止して、持ち込んでいたレモン味のラムネを口にほおった。

 

口の中でシュワシュワ溶けていくラムネを舐めながら、なんだかさっきまでのバブみたいだな、とぼんやり思った。

 

口の中がお風呂なら、私の舌は溺れて苦しいだろうな、と少し心配な気持ちになった。